お客様(お役立ち)事例紹介

すべての問題解決・経営アドバイスには「現状把握にもとづく対策案検討」と「実行力」を要します。

現状把握は何によってなされるかというと、お客様からのヒアリングと「会計情報」になります。私ども税理士が中小企業の経営パートナーたり得る所以はそこにあります。

節税・経費節減 のご提案とその実行サポート

(1)節税対策(決算着地点予想を月次で行っているので二か月位前から検討・実行)

  • 損金で処理できない性格の生命保険(例えば終身保険)から損金可能で、かつ貯蓄性のある保険(長期平準定期)への組み換え
    将来のキャッシュ返戻についても検討(出口戦略確認)
    同時に、既契約にない保障内容を含む長期平準定期保険(三大疾病保障)を上乗せして、さらなる節税につなげ退職金準備積立も増額。
  • 自動車保険、火災保険などの支払方法を月払いから年払いへ変更して、損金算入金額の拡大を図る。
  • 社長からのアイディアで経費(損金)として大量にカタログを作りたいとのことだったが、決算までに残るなら貯蔵品(棚卸)計上することになるので、あまり意味がないこと(配った先の記録が必要であること)を伝え、プログラム機能のない電子カタログの制作に変更することをアドバイス。(制作費を損金計上)
  • 倒産防止共済掛金で損金算入額(最高額240万円)を大幅確保。しかも、会計処理と税務処理の組み合わせ工夫で銀行格付け対策も図る。(決算書の見栄えをよくする目的。)
  • 少額減価償却資産の範囲内で、事業遂行上必要な備品を購入。
  • 旅費出張規定を作成して「出張日当」を損金計上(期中)
  • 決算賞与の計上(金額検討)
  • 車両リース(年払い)の導入、事務所年間家賃の前払の実行(契約がえ)
  • 貸倒引当金の計上 など

の積み重ね(効果のあるものだけを実行)で、利益(所得)予想で1300万円のところを、キャッシュアウト800万を伴う(含む)節税対策で、法人税等で約280万円、消費税で20万円ほどの節税を実現しました。

大事なことは、節税にはキャッシュが必要だということ、なので残った利益(所得)にかかる納付額等の確保と、資金繰りに支障をきたさないようにシュミレートしながら検討をしていくことが重要です。

一千万円単位での利益所得圧縮を考えるときもありますが、百万円単位か、十万単位での節税対策規模が多い(ほとんど)です。
逆に、何千万円とか、億単位の収益力であれば、節税というレベルを超越した経営判断が求められますね。

(2)社会保険料の節約(コスト対策)

当事務所では、決算月の監査の際には、決算予想に合わせて次の期の目標(予算)についての打合せも行います。

卸売・小売業で従業員を20名以上雇用されているお客様との予算設定の打合せで、社会保険料の負担がかなりの金額になっていることが話題に上がりました。

次の期ではお取引先様の事業縮小によって売上が落ち込むことが予想されており、人件費についても人の配置などの整理をしなければなりませんでした。

そこでまず、次の監査までに、お客様に従業員の方たちと個別に面談をしていただき、会社の状況を説明した上で、従業員側の希望を聴取していただくことにしました。

全員の希望を聞き終わったところでご連絡をいただき、従業員さんのうち4人の方は仕事の量を少し減らしたいと思っていたことが分かりました。正社員から時間給アルバイトに変更したいという申し出があり、この時点で人件費をある程度減らせることが確定しました。

さらに、社会保険の負担も減らせるのではないかと考え、社会保険から外れて、ご自身で国民年金と国民健康保険を払っていくという形に変更してもらえないか、再度その4人の方に聞いてみていただきたいとお願いしました。

勤務時間と勤務日数の両方が一般社員のおおむね4分の3以上でない従業員については、社会保険の被保険者としないことができるため、条件的には合致すると思ったのです。

ただ、ご本人たちの就職の際の条件とも関係があるため、お願いする形で、お客様からお話ししていただくことになりました。

その結果、お願いを聞き入れていただくことができ、社会保険料についても4人分の負担を削減することができました。

金額にすると人件費と社会保険料を合わせて、年間で300万円ほど固定費を減らすことに成功しました。

このことによって、売上が減少する見込みの次期についても、しっかり収支が合う計画を立てることができました。
(お客様からも、実現可能な計画になったので、これを目指して時期もがんばっていこうという気持ちになれました、というお言葉をいただくことができました。)

目標達成(黒字化支援)

(1)フリーランス複数人での「共同会社運営(共同管理体制)」でコスト削減・・・クラウド型ソフトを駆使

[お客様]

PR商品のデザインや、同人誌などの発行を行っている法人

[問題]

締切の時間に追われる現状を改善したい、経費節減して少しでも利益を残したい

[改善]

デジタル化や動画変換や音声制作(声優)などの分野において外注者と連携することが多々あり、その外注者がフリーランス(一人二人でやっている規模)であることが多いことに着目をしました。

聞いてみると、その外注者の人達のなかにはフリーランスでも単独で会計事務所に依頼しているところがあったり、あるいは自分で独学で会計税務を恐る恐るやっている方もおり、 自分でやっている人は特に税務申告に不安を持ち続けて精神的負担をかかえているような状況でした。

そこで当事務所のお客様である法人を受け皿として、そのフリーランスの方々を表面上の社員として受け入れるカタチを提案しました。デジタル部門とか動画部門とか音声部門と称した「部門」分けをして、それぞれの部門長として、です。

しかし、部門長とはいえ社員として縛られたくないがために一人で独立してやっていた人達です。社員として会社の方針や指揮命令系統に従わせるのは無理なことです。

なのであくまでも、表面上だけの法人組織化であって、事実上は独立しているカタチを維持していくのです。

しかし、同じ器のなかに入ったら、経理や労働保険などの手続きは一緒になってしまうのでは?独立性を保つのは無理では?とお考えかと思います。

これが、クラウド発展会計を使い、ちょっとした仕組み・ルールを規定すれば、一つの器でまとめて行政手続き(税務申告や労務手続き)を行える、という合理化・効率化を図ることができ、それでいて独立性は維持できるのです。あとは、共有コストの負担方法をルール化することがミソとなります。
(ひとつの会社における会計ソフト上に部門ごとの独立したスペースをもうけ、それぞれの部門長PCからは自分の部門スペースにだけ入っていけるイメージです。)

[成果]

結果、管理コストを共有化することで一人あたりの経費負担額が大幅に削減できたことで黒字化に近づけました。
(独立性維持は絶対的条件でしたが、一部の人は賃貸事務所までも共有化することになり家賃経費や事務用品経費までも削減につながりました。)
(間接業務に向けられた時間も、共有化あるいは一括外注化で短縮につながってます。)

と同時に、(もともと会社形態であった当事務所のお客様は関係ありませんが、)個人事業主であったフリーランスの方が給与所得になったことで所得税住民税の節税にもつながったのです。

さらには、独立性維持が絶対条件ではじめたものの、結束力みたいなものも働いたのか、ある種の関係性が強まったことで、仕事の出し合いの頻度が増え、もともとのお客様の売上も増収傾向にあるといううれしい効果もみえております。

(2)のぼり・ポスターの作成、メニュー開発

[お客様]

飲食店

[問題]

せっかく、頭の中で考えている新メニューやキャンペーンを告知できていない、あるいは実行しない。

[改善成果]

期首における予算(役員報酬)策定会議において、ふとした会話

「食材原価率は前期○○.○%でしたが、今期は?同業者平均は●●%位なんですけど・・。なにかお考えですか?」
「最近◆◆(仕入業者)が、単価あげてくれって言われて、これからはむしろ原価率あがると思います。でも、逆に○○という設備をいれたら、仕込み時間も短縮されて調理担当の人件費が相対的に減るし、もしかしたら水道光熱費も減るんじゃないかな?」
「その○○っていくら位で導入できるんですか?」・・・ここからそれらの設備導入のための資金算段やリースがいいのか購入がいいのかの会話が始まりますが~省略
「いや、これを導入したら、前々から考えていたメニューリニューアルも着手しようと思って・・・。」とここから新メニューについてやメニュー構成見せ方のお話・・。

~途中省略~

「社長、○○が資金的に導入できなかったとしても、その新メニューは一部、今すぐにも実行できるんじゃないですか?ポスターやのぼりで告知してお客さんの反応も検証していきましょうよ」
「いやー、そんな簡単にいいますけど、とりあえずでやってみるほど安くないんですよ、広告物って・・・。」
「前にね、オープンしたときに頼んだ△△(広告屋さん)に、チラシとポスターの見積もりとったら10万ですよ、俺やる気なくしちゃいましてね」

→そんなこと(確かにちょっと思いついたことをPRするのに10万円は高いですがネットで調べれば安いところもあるのでは?という率直な疑問も・・)で、前向きな取り組みが踏み出せないとしたら勿体ない、と思いました。

そこで、当事務所でのぼりやポスター等が出力できる大型プリンタとラミネート機を購入し、顧問先のお客様みなさんで共有している感覚で気軽に使っていただくことにしました。(インク代や布・紙などの材料代のみご負担いただきます。)

今は季節ごとに「●●キャンペーン」~のぼりとか、「大盛り・中盛り・普通盛り 同一料金」~ポスター 作成や、そもそも同一料金にして単品原価率がどの位違うのか計算してみたり・・

と前向きにいろいろな仕掛けができることになったのが大きいです、とおっしゃっていただいてます。

(3)目標商意識を高めるためのメール報告(情報共有)制度で黒字化達成

[お客様]

飲食店

[問題]

月次の予算実績対比検討会において、「目標月商を意識しているけどそれが自分だけでは意味ないのでは」、という社長のご意見。

目標意識を社員レベルにおとしこみたい、そのためには決算数値を公開すべきか?というところの解決事例。

[改善効果]

法人組織であれば、経営トップだけでなく社員レベルにも会社の状況がわかるように経営数値を公開すべきである、というのはそのとおりです。

京セラの偉大な稲盛さんが執筆した「実学」のなかでも会社は公器であり、経営トップの考えていること、やっていることが社員にも理解できるように透明化しなさい、と言われてます。

翻って、世の中の中小企業の実態はどうでしょうか?経営数値をすべて社員に公開している会社は残念ながらまだまだ少ないと思います。

理想と現実・・・ですね。

このお客様(社長)も、お話のなかで悩みぬいた末、財務数値のすべてを社員に明かすのはまだやめておこう、と結論づけました。

社長給料は、事実上の無限責任を負っており、社員がみえないところでも思考労働を担っているということに対する対価も含まれている金額なんだということを 社員はなかなか理解できないであろう、それゆえの在らぬ詮索や捻じ曲がった羨望をもたれてもよろしくない、という考えです。

そこで、売上と粗利益までの数値情報だけを社員と共有化することにしました。

飲食店などの現金商売は日々の現金売上の積み重ねです。日々の日商目標未達(ショート)が、年間金額にするとものすごい影響となります。

だからこそ、日々の日商が大切です。

ここの日商意識を社長以下社員・パート一人ひとりにまで意識させられ るかどうかでだいぶ違う、ということで毎日の日商目標と実績日商(累計売上:月単位)と社長の「今日のひとこと」を全員に毎日メール配信することにしました。

確実に意識が変わりました。(黒字化につながっていると思えます。)

(4)通販部門たちあげのきっかけ(経営計画)→準備サポート

[お客様]

飲食店業で4期目が終了したお客様から、決算報告を行った直後に、次期は贈答用酒やつまみになる食品の物品販売も手がけたいので、そのための借り入れをしたいというご相談がありました。

少し前から飲食店業で主力となっている商品の通信販売も行いたいというお話はお聞きしていましたが、今はまだ小さい範囲でできることからやっていくというものでした。しかし、第4期決算の結果がとてもよく、主軸の飲食店業では継続的に順調な数字が出せるようになっており、資金もだいぶたまってきていました。そういった具体的な数字について詳細に報告を受け、どうせやるならば勝負をかけようと思われたそうです。

このご相談はお電話で受けたのですが、ここで勝負をかけたいという社長の強い気持ちが伝わってきましたし、これは大きな事業になるかもしれないと直感的に感じ、私「服部会計スタッフ」のほうまでわくわくしたことをよく覚えています。

[問題]

しかし、それほど簡単にスタートするというわけにもいきませんでした。

借り入れ一つにしても、経験のある飲食店業を拡大するといった理由での借り入れではなく、全くの新規事業についての借り入れだったため、より具体的な根拠を示した事業計画書の作成が必要でした。社長が思い描いている形を数字に置き換えて計画書を作るのが私たちの仕事です。明確な根拠を示して、より具体的に達成可能だと思わせる数字に作り上げていきました。

ところが、難題は借り入れ以外のところにありました。

酒類を販売するためには酒販免許を取得しなければなりませんが、申請書類をそろえている段階で、前期決算書の数字が申請のための条件を満たしていないことが判明したのです。

酒販免許にはいろいろな種類があり、ワインなどの輸入品だけを取り扱う場合には比較的簡単に取得できるようですが、今回取り扱おうとしている酒類は日本で生産されたものだったため、要件が厳しいそうです。

税務署からはこのまま申請書を出したところで審査は確実に通らないと言われました。酒販免許が取得できなければ、事業計画どころではありません。

そこで、いくつか解決策を考えたうえで、どの方法だったら現実的に審査を通してもらえそうなのか、税務署側のスタンスを探りたいという思いで事前相談の申し込みをし、社長と一緒に話を聞いてもらいに行きました。

相談に行ったところ、意外にもいろいろ相談に乗ってもらうことができ、具体的にこの方法が一番リスクが少ないのではないかという助言を得ることができました。(絶対に審査にとおるとは立場上言えないけれども、という前置きはもちろんありました。酒販免許は書類だけでの形式審査になっており、形式面さえクリアされていれば、どんな方法を採ろうと免許の取得は可能なようです。)

そこで、形式基準を満たすため、増資を行ったうえで決算期を変更して再度決算を組みなおしました。(申請には確定した決算に基づく決算報告書を提出するため、再度決算を行う必要がありました。)

また、通販用サイトの選定について、当事務所の他のお客様が利用されているシステムの内容、条件など、いくつかの情報提供もさせていただきました。

あとは、事業目的の変更登記や食料品を販売するための営業許可などすべての手続きを済ませ、申請から3カ月、ようやく酒販免許の取得に至りました。

[改善成果]

借り入れについても、スタートが遅れてしまったことで事業計画書の数字を再度組み直したため、予定からはだいぶ遅れましたが、無事に融資実行となりました。

融資が実行されてからは、機材を買い揃えたり、本格的なスタートに向けて商品の試作を始めたりと、具体的に事業が動き出しました。

同時進行で進めていた通信販売用のホームページも間もなく完成するため、酒販免許の取得や融資の実行が間に合って、正直胸をなでおろしました。事業はタイミングも大事なので、酒販免許の取得に遅れることなく、満額で融資が実行されたことは、今後の事業展開にとって大きな意味があったと思います。

少し予定よりは遅れてしまったものの、無事にここまで来られ、何とか早くスタートしたい、と社長も張り切っています。

これからが本当の意味での正念場になると思いますが、私は、ここで勝負すると決めたときの社長の強い気持ちがあれば、絶対に成功すると信じて疑いません。飲食店業でも毎期首に一緒に考えた予算を、日々の努力でしっかりクリアしていました。物品販売業が飲食店業をしのぐ売上を出せる日もそれほど遠くはないと感じます。

問題解決

(1)部門切り離し独立(キャッシュもちだし)

[お客様]

個別のお客様が特定できそうなので業種は不掲載とします。(お客様法人をB、代表者個人をbさんとします。)

服部会計は法人B(個人bさん)の顧問を担当させていただいており、法人Aは、他の会計事務所が顧問しておりました。

[問題]

◆経緯
STEP1

X0年にbさんは共同で法人Aを設立(法人B設立より2年前)
(法人Aは「××事業」と「●●事業」を行うために設立された)
(bさんは法人Aの取締役で「●●事業」の責任者)
(その他の登場人物:法人Aの代表取締役a<「××事業」担当>
法人Aの取締役c<総務、事務担当>

STEP2

bさんは△△市地域で●●事業を順調に展開(法人Aの一部門で)

STEP3

X2年にbさんは、好調な●●事業を□□市地域にも拡げたいと考え、□□支店の新設を法人Aの代表取締役aや取締役cに進言するも取締役cにとりあってもらえず、やむなく新たに独自で法人Bを設立して、□□市地域における●●事業を開始した。

(法人B設立時に、服部会計が法人Bの顧問を受託)

この時、そんな状況でも、△△地域での●●事業の展開については、法人Aで継続していくことになんの違和感も感じていなかった。(というのも、法人Aにおける●●事業の資金繰り、人事、営業展開・・・すべてbさんの責任で行われ、●●事業の通帳もbさんが所持していたことから、●●事業は「私の会社」という自己認識をもっていたから。しかし、法人Aの筆頭株主や代表権は他にあるということが現実としては存在していた)

STEP4

その後ほどなくして、(X3年頃から)、取締役cから様々な名目で、●●事業の通帳の中から本部共通部門にお金をまわすように指示される頻度が多くなり、口出しをされることも増えたことからbさんのcさんら本部総務担当らに対する不信感が醸成され、

服部会計に相談がもちこまれた。

◆相談内容

法人A(取締役c)の言っている内容は正しいのか?

法人Aの●●事業における普通預金に入っているお金を、法人Bに移して、●●事業に従事する法人Aのスタッフも法人Bの社員として移籍させたい、私がすべて●●事業を行ってきたのだからすぐにでも実行して、後腐れなく法人A(特に取締役c)とは縁を切りたい。

[改善成果]

STEP1

法人A(取締役c)の言っている「●●事業部門として負う必要があるというその費用負担」が正しいのかどうかは、法人Aの顧問ではない私共が即座に判断することはできなかったので、うまい「口実」及び「話し方」で先方から資料をもらい、調査したところ、その要求金額の不明点を払拭することができず、かつ先方の論理に合理性がみえない部分が多々あることを事実としてお客様bさんに伝えました。(すぐに、その不明点を先方「cやa」につきつけることはせず・・・)

STEP2

取締役cらが、●●事業の成功をひがんでいるのか、あるいはその分け前を狙っているのか・・・bさんからするとcらの要求は不当なのですが、だからと言って、その要求を理由に、法人Aの通帳や法人Aとして雇用しているスタッフや●●事業のお客様を黙ってもっていくのは、大変な問題となることをbさんにお伝えして、先方に早い段階では気づかれないような配慮を施したうえでの離脱計画(手順・スケジューリング)を練りました。

STEP3

先方cや代表取締役aとの話し合いに持っていく前に、△△市地域での●●事業を法人Bで行うことができるための許認可手続きや、スタッフへの根回し、お客様に対する説明文書の作成など・・水面下で諸々の準備をしました。また、預金残高の払い出し名目も考え、そこで想定される税金負担等の対策も計画していったのです。

STEP4

あらゆる想定をしたうえで、いよいよ先方との交渉(話し合い)を開始しました。話し合いには、当事務所の提携弁護士にも同席してもらい、不当競争防止法の主張などを先方がしてくることも予想しながら、それに対抗

すべき論理をもって対峙しました。取締役cとは特に感情論が激しくぶつかり、一筋縄ではいかなかったのですが、法人Aの代表取締役aが大部分で理解をしてくれ、挙句の果てにはaとcが仲間割れしたことも奏功して、ほとんどこちらの希望通り、法人Aから●●事業のあらゆる財産(有形無形問わず)を法人Bにもってくることができました。負担は、多少の税金負担と弁護士費用だけだったのでかなりうまくいった事例だと思ってます。

(2)納得のいかない支払債務にかかる裁判の対応

[お客様]

お客様からのご紹介で、顧問税理士に不満があって税理士を変えたい、とおっしゃられて当事務所に変更されたお客様(業種は不掲載とします。)

[問題]

以前のその税理士に様々な不満があり、長きに渡って顧問料を払っていなかったらしく、金額は、資金繰り的に一度に支払うことができない金額でした。百万円単位の大きな金額なので大丈夫だろうか?と思ったものですが、お客様の不信感が強く、抗議したうえでの未払いでしたし、それに対して長きに渡って明確な請求督促をしてこない結果だったので、このままうやむやになるかもしれないと感じながら、服部会計としては新たな体制整備サポートに入るのみ・・・でした。

ところが税理士変更から2年ほどして、その税理士の代理人弁護士から、未払い分全額を請求する内容証明郵便が届きました。

そもそも、その税理士がなぜこんなに未払いの状態のまま業務を続けていたのか、ということの方が不思議でしたし、2年もたって法的手続きアクションを起こしてくることも首をかしげる思いでしたが、よくよくふりかえってみると、申告はしてもらっていた、という事実はあったため、全く支払わない、というわけにはいかないだろうなと思い、減額交渉とともに分割にしてほしいと頼んでみてはどうかと提案しました。

結果、お客様ご自身で、「月々10万円を払っていくので分割にしてほしい」とお願いしたということでしたが、その提案が拒否され、しばらくして裁判所から支払督促が届きました。

[改善成果]

弁護士に依頼する余裕はなく、かと言って無視するわけにもいかないので、一緒に裁判所に提出する書類の内容を考えました。お客様も、当初は分割でも払っていく気持ちがあったのですが、裁判沙汰にされ、そもそも不満があったこともあって、どうせ裁判になるのであれば、約束したことを守ってくれなかったから払わなかったんだということを裁判官に言って、本当に全額払わなければならないのかを判断してもらいたいという気持ちになったようです。

何回か書類のやり取りが繰り返されましたが、毎回提出する書類の内容を、毎月の巡回監査の際に一緒に考えました。しかし、途中から、和解を勧められ、しかも、判決に至ってもお客様の主張が認められて減額されるようなことはない、ということを裁判官に言われるようになりました。

全額を払わなければならないことについては不満でしたが、ある程度は仕方がないという部分があったようです。

しかし、全額を払うとなると、一括払いはとても無理な金額でした。その旨お客様は主張したのですが、以前の税理士は一括で払うことを要求したそうです。何度か話し合いの場で、分割でなければ支払いができないと繰り返したようですが、相手方の税理士は、資金繰りが苦しいということを信じなかったそうです。きちんと会社の状況を見ていなかったのか、それとも何年も前のまだ売上がしっかり出せていたころのことを想定していたのか、払えるはずだとの一点張りだったようです。

そこで、決算が終わったところですぐに資金繰りの説明書類を作成し、裁判所へ提出することにしました。

今現状お客様がどのような状態に置かれているのか、当期の資金繰りはどうだったのか、未払いの顧問料を月々いくらだったらきちんと払っていけるのか、など細かく説明した書類を当事務所の名前で提出しました。

この書類がきっかけとなり、裁判官も相手方の税理士を説得してくれて、ようやく分割払いに応じてもらえたということでした。

お客様の思惑通りに減額というわけにはいきませんでしたが、それでも支払いを分割払いとしてもらえたことによって、資金繰りという点では、大きな意味がありました。お客様から、「事業をがんばりながら支払っていくことができるようになって助かりました。本当にありがとうございました。」というお言葉をいただくことができました。
(あとは、支払いがすべて終わるまで、きちんと会社の状況を見ながら資金管理のお手伝いをしていきたいと考えます。)

(※節税でも言えることですが、支払金額を減額することだけがすべてではなく、支払いかたを考え、事業をきちんと継続していけるように資金繰りを調える、道筋をつけていくことも私達の仕事だと考えます。)

(3)融資額の上乗せ交渉

[お客様]

飲食業(創業後9年の事業経験年数)、1店舗のみ

[問題]

融資申し込み(借り換え)

  • 借入残高300万円が残っているなかで資金的に厳しい状況にある。そこで・・
    800万円の新規融資申し込みをし、その中から残債300万円を返済して、500万円のニューマネーを調達したい(調達目的)
    冷蔵庫買い替えと店舗内一部(床)の修繕、器などで100万円、それ以外は売上がおちてきている中での損益改善(テコ入れ)の為2年間ぐらいの運転資金(改善つなぎ資金)400万ほどを確保したい。

現金商売である飲食店で、使途目的のはっきりしない運転資金を400万円も調達できるのか?({人員増強や仕入先の変更等によるサイト条件対応のため}など明確な目的がないと、「日々現金が入る商売でそんなに資金が必要なのか」、と言われてそんなに借りられないことがあります。事実上、赤字の補てんのために借りる必要性がでてくるのですが、建前ではそれが借入理由にできないのが現実)

[改善成果]

  1. 借入目的を明確にするためのストーリーを表現するため、および銀行担当者に「保証協会の承認を得るための補足説明資料(意見書)を書いてもらうために、「経営(改善)計画書(借入申請参考資料)」を作成します。

    1. ヒアリングのうえ、現在の状況とその原因や経緯を記入
    2. ヒアリングのうえ、外的要因を考慮した対策案を示す
    3. その他PRポイントをあらわす(今回は商売経験年数をPR)
  2. 銀行担当者が保証協会に対して、いかに推薦してくれるかも大きく影響してくるので、申し込み時にその旨ひとこと添えるようアドバイス

  3. お客様に言わせると、「今回の担当者は、口が達者なかんじで多弁なんだけれども、なんとなくいやなかんじ、言ってることは上辺だけで、自分の論理優先的な雰囲気がある」とのことでした。「若い人ですか?」と聞くと「いえ、そこそこベテランだと思います」とのことだったので、一言、顧問税理士からもよろしく、という意味で一報電話をいれておくことにしました。(若い銀行員もえてして段取りが悪く、希望通りの融資額にならなかったりすることが多いのですが、ベテランでも小規模事業者に対するよこしまな考えからなのか、一生懸命動いてくれないことがあります。電話した印象としては、確かにお客様にたいするマインドが薄い印象を受けました。)

  4. 何週か後に案の定「やはり運転資金としては200万円しかだせない」と保証協会から言われたと連絡がありました。<借換対象300万+設備100万+運転200万=600万で200万ショート>

    (その担当銀行員はそれまでに、お客様に対し、「●●の書類をもってきてください」と二度手間をさせたり、「設備資金申し込み金額を増額すればいい」と言ってきたかと思えば、すぐに根拠資料(設備見積書)が確固たるものでないなら駄目だと言ったり・・・最初の悪い印象のとおり、お客様のその銀行マンにたいする不信感が募っているような状態でした。)

  5. お客様が保証協会に対してではなく、その銀行担当者に対して憤慨しているので、私どもが再度「保証協会に対して再考を働きかけるよう」その銀行マンに連絡しました。

    話を聞いてみると、「現金商売における運転資金申込金額としては金額が多すぎる、ほとんどが設備資金だったら希望金額に近づけたのに・・・」というので、

    1. 運転資金が400万円必要なことは「計画書」に記入したはず
    2. 9年間(個人事業時代もいれたら13年間)約定どおりの返済実績をつんできているというポイント
    3. 設備だったら、とおっしゃるが「容器類」や「金額がそれほど高くない備品等」の入れ替えも運転資金に入っているのだが、これらを設備資金的にはっきりとした「使途」とみれないか?

    ということを、ならべて再度、保証協会にプッシュするようお願いしました。

[成果]

結局、希望額には50万円届かなかったのですが、750万円(希望額は800万円)の資金調達を獲得できました。一回目の内示から150万円の上乗せです。

勝因は特に、03.の話のなかで、「保証協会や銀行が言ってきている{設備資金}の定義について論争を繰り返した末、正式な見積提示の必要がない「購入消耗品、備品リスト」を提示したことにあると思ってます。

~03.についてのやりとり~

「(使用目的がはっきりしない運転資金は難しい・・設備なら・・・)、とおっしゃるが設備資金ってなんですか?」と私はあえて聞きました。

「それはー、改装工事資金とか・・厨房機器とか・・設備を購入するための融資ですよね」あたりまえじゃないか、と言わんばかりの回答でした。

そのうえでさらに「設備の購入費用ってなんですか?」と再びつっこんで聞いたのです。

「えっ?えーと、いや、だから・・冷蔵庫とか・・配達用の車両だとか・・

そのー・・見積書をだしてもらえるもの・・というか、そういった比較的高いものです。」銀行マンは、もはや投げやりキレ気味です。

「比較的高いとは?いくら以上ですか?」私は気にせずたたみかけました。

「いや、それは・・・一般的に設備と言われるものでいいんじゃないですか?」

一転、困った口調になった銀行マンに「一般的な設備と言われてもわからないな、それでは、税務上の減価償却資産にすべき金額をそのまま判断基準としていいということになりますか?」

私は多くの銀行員が意外と税務会計上の知識に乏しいことを知っていますので、その担当者も様々なことをわかったうえで保証協会の主張を伝えてきているわけではないのであろう、という断定のもと言葉をつづけました。

「お客様は青色申告法人です。つまり少額減価償却資産の特例を受けられます。特例金額以上であれば「設備資金」でそれ未満の金額の物の購入であれば「運転資金」ですね?」

(本来、減価償却資産計上は10万円以上となりますが、税法上の特例をもちだしてきて30万円という金額を土俵に乗せたかったのです。)

「・・そういうことでいいと思います。」

(銀行マンはおそらく、なんの根拠もなくあいまいな回答をしてます)

「お客様の計画書にある運転資金には、広告費や臨時アルバイト代のほか、減価償却資産にはならない食器類等の消耗品購入目的や自前で行う店舗修繕材料費なども含まれてます。そういった一括損金となるものに関しては、設備資金ではないから「見積提示および購入後のチェック」は入らないわけですよね。そういった意味で、計画書内には細かい内容までは書いていませんでした。しかしこれをリストにして提示しますよ。そうすれば運転資金の使途が明確になるので、ショート200万円分の上乗せを保証協会も考えやすくなるのでは?だから●●さんも今一度保証協会にプッシュしてください。」と頼みました。

お客様には、食器類やお鍋などの調理器具、お店の中の修繕材料費など・・ひとつが30万円を超えない範囲内での「お金の使い道」をできれば総額200万円ぐらい、いろいろ考えてリストにしてください、と頼みました。

「運転資金の内訳なので、購入チェックは入りません。なので、今すぐに実行しなければならないもの、と限定することなく自由にかんがえてみてください」と伝えるとすぐに提出してくれました。

結果は、増額150万円を獲得することができたわけです。

融資については、申し込み窓口銀行の担当者をいかに動かすか、もポイントです。

中には、とんでもない銀行担当者もいます。(事例:半ば個人的判断でまったく動いていなかった、ということがありました。)

一回であきらめることなく、ねばることも必要です。

(4)出社時間・休憩時間に遅れ、定時に帰ってしまう新入社員の取扱についての相談

執筆中

独立創業支援

(1)マッチング・・・サイト制作=節税

執筆中

(2)助成金申請

会社を退職しハローワークで次の転職先を探していましたが、転職活動の途中で卸売業を自分で開業しようとしたお客様の事例です。

開業後の資金繰り等のご相談の中で、当時実施されていた「受給資格者創業支援助成金」の申請をお薦めしました。お客様が助成金支給申請をスムーズに行える様、申請までのスケジューリングの管理や、申請時に必要となる創業時に要した費用リスト、総勘定元帳等の書類の整備・作成のサポートをさせて頂きました。

また、ハローワークでの求人募集の結果、身体に障害のある方を雇うことになったとのご報告を受け「特定求職者雇用開発助成金」制度をご紹介しました。

助成金の受給要件を調べ、賃金の設定や、労働者名簿・賃金台帳などの提出書類の準備をし、助成金の受給をスムーズに行える様サポートしました。

(3)創業融資<融資希望金額を実現するのには厳しい状況である創業者の借入支援>

[お客様]

10年程同じ会社(美容業)で働いていたスタイリストさん(以下Aさん)で店舗を居抜きで借りたうえで、美容室をたちあげたいというご希望のお客様。

[問題]

必要資金希望額(借入+自己資金)が1000万円(内訳は設備「リフォームや設備機器」で700万、運転で300万)とのことでしたが、創業融資に求められる自己資金要件を充足するには程遠い「手元資金額」でしたので、精緻な計画書の作成と保証人等の担保要求を覚悟することで、資金調達チャレンジをはじめました。

[支援成果]

  1. まず開業するにあたりどれくらいの資金が必要になるかの聞き取りから始めました。

    設備投資や内装工事にかかる費用、事務所の保証金、店舗造作の買取り、給料や水道光熱費・家賃等の運転資金がいくらかかるかを確認します。

    結果として今回のケースでは1000万程必要となる結果でした。

    (借入を起こす際には設備投資や内装工事費用のお見積り、賃貸借契約書等が必要になりますので、あらかじめ確認しておくとスムーズに進みます)。

    ここで問題になるのは「自己資金要件」です。1000万円を確保するにあたっては3分の1の約333万を自分で用意しないといけません。(日本政策金融公庫の創業融資の場合、保証協会では2分の1)よって、借入申請額は667万円です。
    (基本的に通帳を要求され通帳の履歴をさかのぼって見られますので、知り合いから一時的に借りる、いわゆる「見せ金」は通常、認められないでしょう。)
    ((創業融資は、通常の融資(事業経験が少なくとも1年以上ある事業者「一期以上の決算結果が出ている事業者」に対する普通の事業融資)とはまったく異質のものと考えなくてはいけません。その事業者の事業遂行状況、性格、経営センスなどがまったくわからないからです。なので、画一的な「自己資金要件」なるものが存在します。))

    今回Aさんが用意できるのは80万程度で明らかに足りませんでした。

    必要資金が1000万円で、自己資金が80万なら融資申請額は920万円です。

    通常だと調達は不可能です。

    自己資金が足りない部分は、なにをもってしてそれを埋めていくかを金融機関と折衝していく決意しかありません。

    また、足りないながらでも自己資金は一応提示、主張したいところではあります。(親族からの資金援助額が含まれていたのですが、ここは本人がタンス預金をしていたと言って、現金を提示することにしました。)

    そのうえで保証人を付けることを考え、お母様を保証人にするということになりました。

    しかしお話を聞いていく中で、お母様の保証能力では足りないという結論になったのです。

    保証人が無理となると、物的な担保の存在を探すしかありません。Aさんからのヒアリングでローンの支払が終わっている実家を物的担保にできると思う、とのことでしたので、路線価評価を行い、提携している住宅メーカーの方に協力してもらいながらどれくらいの資産価値があるのかを算出しました。

    その結果、これなら十分担保になり得ると判断し、根拠資料を作成しました。

    その過程で土地の登記が亡くなったお父様のままになっていることが判明し、提携している司法書士にお願いして相続登記も行いました。

    ちなみに、担保や保証人を差し出すということは、もしかしたら保証人(物上保証人)に迷惑をかけるかもしれない、ということなのでそうなったらその保証人の方も含む人生のリカバリーが可能であるのか、「それほどのリスク」と「創業する決意や情熱」がお客様にとって見合うものなのかどうか、を改めて考えていただいたうえでの行動です。
    (ほとんどのケースでは、しっかり準備をされてきて、自己資金要件に見合った資金レベルで考えられるので、必要金額を無担保無保証で借りられることのほうが多いと思います。)

  2. Aさんには上記の対応と並行して、「創業ワークシート」というものを書いて頂いておりました。(TKCの継続MASシステム「創業計画作成支援ソフト」を利用)

    ここでは創業者のプロフィールや経営理念、販売する商品やサービス、ターゲットにする層やそこへのアプローチの仕方等を考えて頂きます。

    このワークシートは金融機関等に提出する「創業計画書」のベースになるものです。

    さらにこのワークシートを書いて頂くことにより、頭の中を整理することができます。

    借入を起こす際には金融機関との面談を数回行って頂くこともあり、その際に頭の中が整理されているとスムーズな受け答えができ、相手に与える印象も良くなります。

  3. ここまでが準備段階です。資料をそろえていよいよ金融機関等に行くことになります。今回のケースでは日本政策金融公庫の生活衛生貸付を利用することにしました(いくつか条件がありますが、Aさんはこの条件をクリアしていたのでこの制度を利用することができました)。

    この制度は返済期間が最大13年と、一般的な返済期間より長くなっており、月々の負担が軽くなります。

    条件の良い制度ですが、この制度を利用する際に申込み金額が300万を超える場合は生活衛生営業指導センターの推薦書を貰わなければなりませんでした。

    この推薦書を貰うには推薦書交付願、借入申込書、不動産の契約書、備品・工事の見積書、工事後の店舗の平面図、創業計画書が必要でしたが、事前にすべて用意して頂いておりましたので、無事に推薦書を貰い、そのまま管轄の日本政策金融公庫に相談に行き、そのまま話を聞いてもらえることになりました。

    その後、面談のため2回公庫に行ってもらうことになりましたが、無事終了し融資金額が決まりました。決定額は800万円でした。

    予定より少ない金額になってしまったので、一括で支払うつもりだった設備投資を一部リース契約に変更しました。

    融資額が少なめになってしまうことはある程度想定しておりましたので、あらかじめ、設備の会社に、場合によってはリース契約が可能かどうかの確認はしておりました。

    また、運転資金が希望どおり出たとしても、出なかったとしても、いずれにしても手元資金が少ないところでのスタートでしたので、居抜き店舗の賃貸契約を引き継ぐ段階で譲り受ける予定のその店舗造作代金を分割で支払わせていただくよう前美容室オーナーに交渉することをアドバイスしました。

    結果、一部をリース契約にすることにより、また造作代金の分割払い契約により、今すぐに資金不足になることは避けることができ、無事に開業することができました。その後も1期目から順調に売上を伸ばしてきています。

今回紹介させて頂いたのは色々なことが起こり、そもそも調達困難が予想された特殊な事例です。

創業融資獲得の基本的な流れとしては下記のようになります。

  1. 必要資金の算出、創業ワークシートの作成。
  2. 1に基づき創業計画書を作り、打ち合わせで細部を確認する。
  3. 上記と並行して設備投資が必要な場合は見積書、事務所を借りる場合は賃貸借契約書等の資料の準備をする。
  4. 金融機関へそれらの資料を持って行き面談する。

必要書類や細かい部分に関しては随時サポート致します。

(4)体制整備(ステップアップ)

[お客様]

某国在住の、某国で経営している会社の日本支部を設立しているお客様
(お客様が特定されてしまう為、国・業種は不掲載とさせて頂きます。)

このお客様は、数年前に日本市場において事業を展開する目的で日本法人を設立し、 機を狙っていたところ、このたび本格的な事業活動を開始するということで当事務所に こられました。

1)登記上の会社組織(役員構成)を整えたい・・・

[問題]

日本で会社を設立するにあたり名義を借りた日本在住の知人を代表取締役から外したい。 (会社の株式の90%はお客様「代表個人である非居住者」が所有。)

[提案・解決]

会社法により、代表取締役の少なくとも一人は日本に住所を有する者でなければなりませんので、お客様(外国人)が某国に住所を持ったまま会社を存続させることはできませんでした。お客様(外国人)が日本に住所を有する形にするには、日本で住民登録をする必要があります。外国の方が日本で住民登録をするには「在留カード」というものを取得しなければなりませんが、この「在留カード」は通常お客様が日本に来られる際に取得する30日以内のビザや短期滞在ビザでは取得することができず、「投資・経営」の在留資格を得なければいけませんでした。

この「投資・経営」の在留資格をとるためには、

  1. 年間500万円以上の投資がされていること
  2. 事業営むための事業所・店舗・施設の確保がされていること
  3. 経営者以外に日本に居住する者の常勤社員2名以上を雇用すること

が必要となります。

 

ここで問題になったのは3番の日本居住の常勤社員2名以上の雇用でした。

こちらのお客様(外国人)は日本の会社の経営を全て某国から行っており、日本在住の日本人スタッフは1人しか雇用していませんでした。そこで、入管上の条文上では日本居住の常勤社員2名以上の雇用が必要とされていますが、審査基準としたときには入管の内部審査基準というものがあり、常勤社員を2名以上の雇用がなくても、年間投資金額500万円が実行担保されていればよいとされていることから、お客様(外国人)から当設立会社への500万円の増資をすることにしました。これにより2番の事業所の確保は既にされていましたので、1番と3番の条件をクリアできることになりました。

在留資格認定証明書の交付申請は申請人本人(外国人のお客様)が日本に滞在していなければいけませんので、短期の滞在で認定証明書が取得できる様、申請自体は提携の行政書士に行ってもらうことにしました。(申請書類の作成を本人が行うと不備等で再提出になることが多く、申請に時間がかかってしまうことが多々あるようです。)在留資格認定証明書交付申請時に必要となる、株主名簿、役員報酬額の記載のある議事録、直近の決算書、「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料」などの提出書類の作成は弊所がサポートして行い、スムーズに交付を受けることができ、住民登録をして無事に日本在住の代表取締役の解任手続きをすることができました。

2)会計体制を効率的に整えたい・・・

[問題]

某国で行っている会計処理を日本の会計システムに取り込み、情報を統一化したい。

[提案・解決]

日本法人が提出する財務諸表は日本語で作成しなければなりませんので、日々の取引を日本語の会計システムに日本語で入力して頂く必要がありました。しかし、某国でも独自に経理をしており、英語での財務諸表を作成しているため、同じ作業を2度しなくてはならない時間コストを削減できないか?と相談を受けました。

そこで、弊所が利用している会計ソフト「発展会計」の仕訳取込機能を用いました。

この「発展会計」は仕訳情報をcsv形式で取り込むことができます。仕訳情報を取り組むには、日付、借方科目、取引先、貸方科目...などを入力する順番が定められており、定められた順番通りに入力して頂かなくてはいけませんでした。また、csv形式での入力は非常に見にくくなってしまい難しい為、エクセルを用いて仕訳取込フォーマットを作成しました。フォーマット作成にあたっては某国スタッフがスムーズに入力ができる様、日付、借方科目...などの言語を全て英語表示にし、科目はコードで入力できるよう整備。摘要欄に入力する取引内容は、通常使う取引内容を事前に登録しておき、日本語で書かれた取引内容を選択して選べる様、外国の方でも日本語の仕訳が簡単に入力ができるように作成しました。

また、発展会計の表示機能を用いて、決算書は日本語表示に、毎月の社長への業績報告に用いるための試算表は英語で表示ができるようにしました。

3)雇用関係、取引関係を整えたい・・「リーガルチェック」

[問題]

日本人の雇用や業務委託、取引先との契約を行う際にトラブルをできるだけ少なくしたい。

[提案・改善]

こちらのお客様(外国人)は1年のほとんどを某国で過ごされており、来日できる期間が限られているので従業員や業務委託をしている業者の行動を上手く監督ができない状態にあったり、トラブルが起こった際に相手側の要求が日本で正当なものなのかどうかの判別ができないと悩んでおられました。

お客様は日本語を話すことができないので、その当時、契約は英語で口頭のみで行っていました。そこで、社長の意図やトラブルが起こった際の責任・対処法などを、きちんと日本語で書面に残すことが必要だと考え、弊所が提携している弁護士等の専門家と共に、日本語での諸契約書作成をサポートさせて頂くことになりました。

[成果]

日本語で書面を残しておくことで万が一トラブルが起こった時にも安心して対応ができる、遠く離れたところにいてもきちんと業務を行ってもらえ、トラブルの抑止的な効果があったと喜んで頂けました。また、第三者の専門的な意見を聞けるので安心して業務に集中できると言って頂けました。