事業を行っていくと「かかってくる税金」について

税金といった場合、とかく利益に対して課される税金だけを思い浮かべがちですが、資産の保有に伴い課されるもの、文書に対して課されるものなど、様々な税金があります。

「決算書項目」と「かかってくる税金」との関係

それぞれの税目の解説は下記ページへ

貸借対照表)

資産項目

 「現金」
 「預金」(1)利息に対しての税(源泉税)

 「売掛債権」
 「土地・建物」(2)固定資産税・都市計画税
 「車両運搬具」(3)自動車税等 
 「機械備品」(2)固定資産税(償却資産税)
 

負債項目

 「買掛金」
 「支払手形」(4)印紙税 
 「借入金」(4)印紙税

(損益計算書)

 「売上」(5)消費税(受取)(4)印紙税(契約書・領収書)
 「仕入」(5)消費税(支払)
 「従業員給与」(6)社会保険
 「経費」(5)消費税(支払)
 「役員報酬」(7)源泉所得税(8)住民税(6)社会保険
  ※個人事業では利益になり「(9)所得税」がかかる
 「利益」(9)法人税(所得税)(8)住民税

解説

(1)利息に対しての税(源泉税)

→(法人)個人と同様20%の税金が課せられますが、法人税・法人住民税の前払分として決算において精算されます。

→(個人事業)受取利息に対して20%(国15%地方5%)の税金が課せられます。

(2)固定資産税・都市計画税

→土地や建物の所有に対して毎年課せられる税金(市町村の課税台帳に登録された価格に標準税率1.4%(制限税率2.1%)掛けたもの)です。なお、土地や建物の取得については不動産取得税が、またその登記については登録免許税が課せられます。

→都市計画税は、市街化区域内に所在する土地・建物の所有に対して毎年課せられる税金(課税標準額に税率0.3%掛けたもの)です。

→土地や建物以外の事業の用に供することができる有形償却資産に対して毎年課せられる税金(課税標準額に税率1.4%掛けたもの)です。(償却資産税)

(3)自動車税・軽自動車税

→自動車税は、区分(乗用車、トラック...)、総排気量、用途(自家用、営業用)により、都道府県から課せられる税金(通常税額6,500円~111,000円)です。軽自動車税は、区分(原付、二輪、軽四...)、総排気量、用途により市区町村から課せられる税金(1,000円~7,200円)です。

(4)印紙税

→課税文書(領収書・契約書・手形など)1通につき一定額の印紙を貼り付ける方法により納付する税金です。領収書については、例えば受取金額3万円以上100万円以下(消費税額は明記の場合は含めず)では印紙200円が必要になります。

(5)消費税(地方消費税含)

→課税事業者となった場合に、原則、課税売上に対する消費税から課税仕入れに対する消費税を差し引いた差額を納付します。 

(6)社会保険

→(法人)従業員給与及び社長の報酬に対して、約13%~14%の法人負担があります。

→(個人事業)従業員給与に対して、約13%~14%の事業主負担があります。

(7)源泉所得税

→(法人)社長の報酬に対して源泉所得税が課せられ、報酬は源泉所得税を差し引いた金額で受け取ります。

→(個人事業)発生しません。事業主への報酬の取り扱いがなく、すべて事業利益に含めて扱います。

(8)住民税

→(法人)法人税をもとに課せられる「法人税割」と、資本金・従業員数に応じて課せられる「均等割」とがあります。標準税率は、都道府県民税が5%、市区町村民税が12.3%です。なお、社長の報酬に対する住民税は、個人事業参照

→(個人事業)都道府県民税と市区町村民税に区分され、一定額が均等に課せられる「均等割」と、事業利益をもとに課せられる「所得割」とがあります。税率は、都道府県が4%、市区町村が6%です。

(9)所得税・法人税

→(法人)法人の利益をもとに、法人税{定率30%(課税所得が800万円以下であれば、特例で22%)}が課せられます。

→(個人事業税)事業利益をもとに、所得税{超過累進税率(5%~40%)}が課せられます。

(10)事業税

→(法人)資本金1億円超の法人については、外形標準課税制度により事業税が課せられ、それ以外の中小法人については、法人の利益をもとに事業税(年400万円以下5%、400万円超800万円以下7.3%、800万円超9.6%)が課せられます。

→(個人事業税)事業利益をもとに、事業税(事業主控除年290万円を超える部分に対して5%)が課せられます。