障害者の働く場(事業者)に対する発注促進税制

障害者の働く場に対する発注促進税制が創設されました。
「障害者の働く場に対する発注促進税制」(2008年税制改正)とは、
障害者が働く施設などへの発注額を前年度より増加させた発注元の企業が、
その企業の保有する固定資産(減価償却資産)を割増して償却することによって、
所得税もしくは法人税を軽減することができるという制度です。
この制度について整理しておきます。

【優遇対象者】
全ての法人または個人事業主

【適用期間】
・法人の場合:平成20年4月1日~平成25年3月31日
・個人事業主の場合:平成21年1月1日~平成25年12月31日

【割増償却額】
前年度からの発注増加額となります。
ただし、対象固定資産の普通償却限度額の30%が限度となります。
前年に発注がない場合には、当該年度の発注額がそのまま
「発注増加額」となります。

【対象となる発注先】
福祉施設以外に民間施設にも該当する企業があります。
~福祉施設~
◇障害者自立支援法に基づく事業所・施設〔管轄=都道府県もしくは市町村〕
・就労移行支援事業所 ・就労継続支援事業所 ・生活介護事業所
・障害者支援施設(就労移行支援、就労継続支援、生活介護を行うもの)
・地域活動支援センター
◇障害者自立支援法による改正前の身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく施設〔管轄=都道府県もしくは市町村〕
・旧法授産施設(身体・知的・精神) ・旧法福祉工場(身体・知的・精神)
~民間企業~
◇障害者を多数雇用している企業
・障害者雇用促進法の特例子会社〔管轄=厚生労働省〕
・重度障害者多数雇用事業所※〔管轄=公共職業安定所〕

※要件

  1. 障害者の雇用者数が5人以上、
  2. 障害者の割合が従業員の20%以上、
  3. 雇用障害者に占める重度身体・知的・精神障害者の割合が30%以上であり、
  4. 1.~3.の要件に該当している旨の公共職業安定所所長の証明を得ていること。
【割増償却の対象となる減価償却資産】
一年以上の長期保有資産で取得価格20万円以上のもので、現事業年度を含む3年以内に取得した資産。
以下に具体的に例をあげておきます。
  1. 建物及び、冷暖房設備、照明設備、エレベーターなどの建物附属設備
  2. 工作機械、印刷機械、食料製造機械などの機械及び装置
  3. 自動車、フォークリフトなどの車両及び運搬具
  4. キャビネット、応接セット、パソコン、コピー機などの工具、器具及び備品
  5. 牛、馬、かんきつ樹、ぶどう樹、茶樹、つばき樹、桑樹などの生物
※この他にも多くの資産が対象となります。

【事務手続き】
対象となる施設である旨を証明する書類(管轄諸官庁が発行した認可通知書・認定書・証明書の写し)と、当該施設からの領収書を保存し、税務署に対して割増償却の申請をします。
詳しくは厚生労働省のホームページwww.mhlw.go.jpをご覧ください。